転職エージェントとしての経験上、10人中8、9人は何らかの後ろ向きな事情を抱えています。それをストレートに応募先に言ってもネガティブに取られるだけです。どのように打開すれば良いでしょうか。まずはメンタルを前向きに切り替えるための解説です。

後ろ向きな転職理由はダメ?

日本の転職活動でややこしいことは、転職理由をストレートにいえない、という事情です。転職者も採用側もお互いに「本音の事情」はあるのですが、それをオープンにして話すことができない。採用側は思考が未来に向かっているので、やはり前向きな理由を求めるし、ネガティブな人材には人間としても合いづらいですよね。

 

個人的にははっきり言って、そうした表面的なやり取りは時間の無駄だと思うのですが、それが「お作法」として世の中に通用している以上は、大人になって合わせなければなりません。困ったことに、後ろ向きな事情で辞めた方の場合、履歴書や職務経歴上ではその不自然さがはっきり分かるため、前向きな転職理由を言っても不自然に取られやすいことです。

 

つまり、後ろ向きな理由で退職した場合、あなただけの責任ではないにも関わらず、そのリスクを転職者が引き受けなければならない、という理不尽さがあります。しかし、試練は乗り越えられます。

 

これからご説明することは、直接的な転職活動に役立つ具体的なスキルではありませんが、試練を乗り越えるために、メンタルを前向きに切り替えるための考え方です。メンタルを前向きに切り替えられれば、物事に積極的になり、その姿勢は面接官にも好印象を与えられるようになるはずです。

 

人間関係がイヤで会社を辞めたとき

このケースでは、まずメンタルをやられていないか、人間に対して恐怖心を持ってしまっていないかを確認する必要があります。もし、メンタル的なダメージが大きい場合は、まずそのケアが必要になるでしょう。反対に、ダメージが少なく、転職活動が可能な場合ですが、いろんな情報にすがって、人間関係の良い職場を必死に探す必要は、私はないと思います。

 

前職の人間関係が悪かった、合わなかったケースで、次も人間関係が悪かったというケースの転職例は少ないです。人間はつい現職の延長線上で仕事をイメージしがちですが、悪いことばかりが続く、ということはそうはありません。

 

また、個人のインセンティブがやたらに大きい会社や、人事評価に同僚の相互評価がある会社など、職場の人間関係が荒みがちな企業は客観的に分かりやすいので、あらかじめ避ければ、相当リスクを低減できるでしょう。

 

今後についてですが、おそらく、人間関係の良し悪しは他の企業へ転職に成功してもついて回るでしょう。そうした時にでも、適応して仕事を続けていけることができる、柔軟なコミュニケーションスキルを身につける、といった発想が必要になってくるでしょう。人間関係に対するしたたかさ、しなやかさを身に着けて、次の転職に備えてください。

 

仕事が合わなくて会社を辞めたとき

このケースの場合、まず、自分にはどんな仕事が合って、どんな仕事が合わないのか、しっかり考え抜くことが大事です。しっかり考え抜くとは、例えば、営業の仕事が合わなかったから事務の仕事をやりたい、といった、ざっくりした発想ではありません。

 

例えば、〜の場面でリーダーシップを発揮する仕事とか、〜の専門性を発揮する仕事、〜した人々に対して貢献できるような人と接する仕事、といった具合に、具体性を持った仕事のイメージを落とし込む必要があります。

 

仕事が合わなかった、という場合、それは得意・不得意だけの問題ではなく、個人の価値観に根ざすケースが非常に多いです。言い換えると、充実した仕事をしている自己イメージと、現実とのギャップが大きい、ということです。自分の働く価値観を問いなおすことよって、より良い適職を見つける良い機会だと前向きに切り替えていきましょう。

 

なお、転職活動のテクニック的な点を1点だけ申し上げると、本当は合わないと思ったとしても、転職の理由自体は、「前職の仕事を通じて、さらに違う分野のスキルを磨きたいと考えてキャリアチェンジを考えている」といった転職理由を構築することが良いでしょう。

 

まとめ
前向きな姿勢や性格というのは、言葉にしなくても相手に伝わります。同じようなスキルの候補者がいた場合、当然、前向きな姿勢の方ですよね。前向きなモチベーションを手に入れる、というのが良い転職活動の第一歩かもしれません。後ろ向きな転職理由だとしても、前向きに変えていく努力が必要ですね。