優秀な方ほど企業は採用したいものです。しかし一方、優秀な方ほど現職が多忙で、転職活動の時間がなかなかとれません。このギャップをどう埋めるかが、転職エージェントの悩みどころでありますが、打開策はあります。具体的にどのように時間を捻出しているか、具体的なケースをご紹介しながら説明してきましょう。

忙しいからといって退職してからの転職はおすすめしない

転職活動の理想は、余裕がある人が余裕のある時期に、じっくり考えて企業を選ぶべきものです。したがって、余裕のない時期に焦って企業選びをする必要は全くありません。

 

しかし、転職の意思を固めているのに、時期が伸び伸びになってしまうことも考えものです。せっかくのステップアップのチャンスを逃してしまいます。よく受けていた要望が、「時間が空いてから転職活動に集中したい」というものですがこれはNGです。たいてい、時間が空くと思った時期に、新しい仕事が降ってきたりして、思ったように転職活動の時間はやはり取れなくなるケースが多いです。

 

中には、「退職してからの転職活動をしたい」というご相談も受けますが、転職活動が決して成功するケースばかりではない以上、リスクが高すぎます。たとえ多忙であっても、現職を続けながら転職活動をすることを基本に据えるべきでしょう。

 

多忙な方が転職活動に取り組む際の関門は大きく3つあります。次のパートで、それぞれの関門に対する対処の考え方を説明します。

 

働きながら転職活動を行う際のポイント

1.モチベーションの維持

多忙な方が転職活動をする場合、現職に忙殺されて、せっかくの転職へのモチベーション自体を失ってしまうケースです。この対処法は、「何のために転職を決意したのか」を明確にすることです。確かに現職に関してはやり甲斐もあり、高い評価を得られているかも知れません。

 

今まで築いてきた仕事に関する責任感もあるでしょう。しかし、一度きりのキャリア形成で、本当に大切な価値観は何でしょうか?今の目先のやり甲斐や責任感より優先したい何かがあったから転職を決意されたのではないでしょうか?キャリア形成は、自分で作り出すもので、流されては決していけないのです。

 

2.時間の捻出法

時間は強引にでも作ってもらうしかありません。以下の説明は、転職エージェントを利用した場合が中心ですが、転職サイトを利用するケースでも応用できます。但し、面接調整や選考管理はご自身でやらなければならないケースが多いと思います。

 

①転職エージェントへの登録段階

最初に、転職エージェントに登録する段階です。転職エージェントに依頼すれば、昼休みの時間等に、会社の近くまで来てもらって面談する方法、業務時間外に電話でやり取りする方法、メールのアンケートに答えてもらう方法などで登録を済ませる方法があります。多忙で優秀な方は、転職エージェントとしても是非会いたいので、柔軟に対応してくれます。

 

また、応募段階では、会社のメールアドレスから応募の意思表示の連絡が来た方もいらっしゃいました。最近では、会社でスマートフォンが支給されているので、誰からも覗かれない場所に移動してから、スマホを使ってメッセージのやり取りが可能なのです。なお、ご自身でやる場合は、休日等を使って転職サイトに登録し、ご自身で選考管理を行っていく必要があります。

 

②面接段階

面接では、担当者レベルの一次面接では、平日夜間や土曜日など、転職者が会社に休みを取るプレッシャーを感じないように組みます。一次面接では、競合する応募者も多く、不採用のリスクも高いため、その度に有給休暇などを使っていては、たちまちなくなってしまいます。

 

山場となる役員面接でもこうした調整は可能です。基本的には、目上の方のご予定に合わせるのがビジネスマナーですが、事前に人事部と話を合わせておくことで、夜間や週末での面接スケジュールを役員の方に作っていただくことも可能です。

 

また、主に転職者が役員クラスの採用のケースですが、紹介先の企業の方に、転職者の会社の近くまで来てもらい、打ち合わせ名目で面接をお願いすることも可能です。転職者の入社のモチベーションと紹介先企業の採用のモチベーションの双方が高い場合は、実現可能な方法です。

 

こうした柔軟な面接調整は、優秀な方で、お互いの入社・採用のモチベーションが高ければ高いほど可能です。そして、モチベーションが高いうちに事を進めなければなりませんので、柔軟な対応をお願いする代わりにスピーディに対応する必要があります。なお、個人で応募している場合は、もちろん人事部に事情を伝えて自分でやるほかありません。

 

3.本当に辞められるのか?

実は、多忙な方が見落としがちな、意外な難関が「退職・入社時期の調整」です。多忙な方は簡単には辞められません。現職の企業も代わりの人材を用意する必要がありますし、ケースによってはかなり強く慰留される可能性もあります。転職者の側も、情がありますし、円満に退職したいという思惑があるため、強く退職を切り出せないケースが多々みられます。

 

また、意外に多いのが、引き継ぎに失敗するケース。引き継ぎの候補の人材も辞めてしまって、退職日を伸ばしてくれないか、といった慰留も結構あります。ここでは決断が必要です。つい感情に流されがちになる段階ですが、長期的なキャリアプランからして、誰のためになることが一番大事かをしっかり確認して決めることです。

 

法律上、あなたは就業規則に定められた期間に通告すれば、引き継ぎ0でも退職可能です。あくまで引き継ぎ等はビジネスマナーの問題であって、法的な義務ではありません。

 

また、転職の原因となった事情は解消させる、といった慰留を受けるかもしれません。しかし、あなたが転職を決意するほど思いつめるまで解消させない企業の姿勢をどう考えるべきでしょうか?冷静になるべきでしょう。この段階で有利な立場にいるのはあなたですので、自らその立場を放棄することはありません。

 

まとめ
多忙な方の転職活動のハードルは一見高そうに見えますが、工夫次第で、道を切り開くことは可能です。長いキャリア形成で、一番大切なことはあなた自身を大切にすることです。一度決断したからには、最後までしっかり自分を貫いていきましょう。